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【在宅緩和ケア】①-4 がんの父と娘 【おいなりさん】

いろいろ迷いながら過ごしている今日このごろ.
患者さんのお嬢様に旦那様が買ってきてくださったおいなりさんをごちそうになりながらお茶していると
地元高知のわたしのお気に入りのおいなりさんには,ゴマとみじん切りショウガが入っていたことを思い出し.
つい,里心ついて,帰りたいな~と言ってしまいました.
在宅療養支援診療所は,24時間365日対応しないといけませんから
開業してから帰ったことはありません.開業直後の患者さんがいないときに一度だけ用事でトンボ帰りしてきたことはありますが.
なので,つい,うっかりと帰りたいなとぼそっと言ってしまいました.

翌日,にゃーんと,お嬢様がわたしのためにゴマとみじん切りのガリを入れたおいなりさんを作ってくれたではないですか!
涙が出ました.

人と人はこうして支えあって生きていくんだな~,と実感します.

医師っていい職業ですね.
頑張った結果がこうして,患者さんや家族の笑顔になって帰ってくる.

緩和ケアのゴールは死.
それは切ないゴールなのだけど.
ゴールは変えてあげられないけど.
そうして優しい思い出に包まれた終末期を過ごしてほしい.
そう思います.

研修医の私は,初めて亡くなった患者さんの奥さんから
先生はよくしてくれたけど二度と会いたくない,先生を見ると
辛いことしか思い出せないと言われてしまいました.

そこからなにをどう改善するか,と自問して,だんだんと自分のスタイルを作ってきました.

わたしなりに,わたしらしく頑張ろうと思います.

こうしておいなりさん,わざわざ作っていただけるってすごいですよね!