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放射線治療と外科医の欺瞞

さっきの放射線治療の問題症例と同じころのことです.

 

ある日,乳腺外科医から連絡をもらいました.

トリプルネガティブの患者さんが,1年後の健診でCTをとったら多発肝転移があるから,そちらでお願いって.

わたしは,受けた症例は,それまでのカルテも手術も見ます.診療経過を把握して,患者さんの質問に答えるという,きわめて普通のことだと思います.

その症例は,手術⇒抗剤⇒放射線治療

という治療をしていました.

この場合,放射線治療は,局所再発を予防するという目的で行われます.

ところが.放射線治療ために撮影するCTの段階で,肝転移が写っていたんです.

 

これがそのCTです.

わたしは,大変驚いて,放射線画像診断の責任者,外科部長,放射線治療計画を立てた医師に
それぞれ話を聞きに行きました.
わたしの勘違いかもしれないからです.

でも.勘違いではなく,見落としだと認めました.
放射線画像診断の責任者の言い分は,そもそも,治療計画のCTは転移がないことを前提にしているため,そう思ってみてしまって見逃した,とのこと.

外科医の言い分は,「放射線科に任せてあるから,彼らがないといったら転移はない」
1年後まで造影CTをとらなかったのは,腫瘍内科の先生たちが,撮るなとうるさいからだ,と.

ん????わたしはそんなこと言ってませんが?
と言ったら,ガイドラインを出してきて,こうなっているじゃないか,と言いました.

あれ?
確か.肺転移と縦隔転移と腋窩リンパ節転移があった症例に,まったく必要のない
センチネルリンパ節生検とレベル3のリンパ節郭清なんてやっておいて
よくこんな場面でガイドラインだしますね?

 

放射線治療計画の医師は,見逃しである,申し訳ない,といいました.

わたしは,患者さんに説明しました.

申し訳ないけど,半年前のCTですでにうつっていました.
見逃しです.
だから,こんな病院で治療を受けたくない,ということなら,わたしが責任を持って病院を紹介します,と.

患者さんは言いました.
ここで治療を受けたい,と.

でも.外科医に対しては思うところがあったようで,弁護士に相談に行きたいって言いました.

わたしは,とりあえず,患者さんの希望が実現するように努力します.
低所得層の患者さんでしたが,泣き寝入りしなくて言いように,法テラスに連絡して,手続きの方法を聞いて,手配できるようにしました.

わたしは本当のことを言うだけです.
隠さないし,捏造もしません.

それが私の姿勢です.

もちろん,医療安全にもお伝えしました.
しかし.医療安全部は何もしませんでした.

患者さんは具合が良くないので,遠くの法テラスまでは行けません.

病院と目と鼻の先の法テラスに行って,「ぜんぜん駄目だよ」と若い弁護士に言われて帰ってきました.

病院側は,各診療科が見逃しを認めておいて,患者さんに正式に謝罪しませんでした.....

わたしは,この病院が,いろんな学会の専門医養成のための修練施設だということを大変疑問に感じました.

腫瘍内科のわたしから見ておかしな治療ばかりするからです.

一体どういう指導をしているのか?

 

関係する学会の専門医制度を調べ始めました.