【 医療過誤 】診断ミス、ブルガダ症候群で突然死…遺族に6000万円支払い

う~ん...
ブルガダ症候群は,特徴的な右側の胸部誘導のST上昇)があり,、致死的不整脈である心室細動によって突然心臓が停止し,死亡する可能性があります.
日常的には心臓の機能は正常で,突然致死性不整脈が起こる可能性があるのです.
ぽっくり病といわれていた中にはブルガダ症候群の患者さんが含まれていたと考えられます.
背景には心臓の電気現象の異常があるとされ,具体的には心臓の筋肉の細胞が電気的に興奮している時間(活動電位持続時間)が心臓の内膜側と外膜側で異なることで電気的な不安定性を生み,不整脈につながるのではとされています.

当院では,心疾患を対象とする遺伝子パネル検査を致しております.

先日,まったく心疾患を疑うとかではなかったのですが,身体の電気的活動の異常を示す人がいて
依頼されてwhole exome(遺伝子にはエクソン,イントロンと言われる部分があり,タンパクに翻訳される時に切り取られてなくなる部分がイントロン.この検査では人間の22000個くらいある全遺伝子のエクソンの部分だけを全部検査します.)という検査を出してみた人がいました.
そしたら,右心系の致死性不整脈を起こす遺伝子の異常が引っ掛かってきました.

知っていると備えることもできる,ということですよね.

遺伝子検査で何もかもわかるわけではありません.
遺伝子検査は予言の書ではありません.

でも.判らないことが判るようになったという意味では,格段の進歩を遂げています.

それにしても.
裁判で判決が出ないと支払えない,と突っぱねる病院が多い中
こうして示談に応じて賠償金を支払うというのは,対応としては良いことだと私は思います.

医師用掲示板では,この院長の会見について,医療全体に与える影響を考慮せず,よいカッコして
医療を潰すと非難する意見もありますが.
わたしはそうは思いません.

ちゃんとブルガダ症候群を疑って対処できていたら,除細動器を植え込むなどの対応が出来ていた可能性が高く
今でも存命だと思われるからです.

過失=心電図の特徴的波形の見落とし
結果=死亡

この患者さんの場合,当該病院を失神の既往があるということで受診しているのですから
ブルガダ症候群の波形を正しく認識していれば,植え込み型除細動器の絶対的適応となります.
そうすると,ほぼ100%突然死を防げたのです.

 

過失と結果の間に,「相当因果関係」があるとして,裁判を戦っても敗訴することは避けられません.

病院の対応は,無駄な争いをやめて,謝罪し和解するということで,遺族にとっても医療界にとっても
大変素晴らしい対応です.

それに対して,お勉強不足な医師たちが非難する.
こうした態度こそが医療不信を招き,医療崩壊を招くのです.

 

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診断ミス、ブルガダ症候群で突然死…遺族に6000万円支払い

  • 16/05/31
  • 記事:読売新聞
  • 提供:読売新聞

 高岡市民病院は30日、記者会見を開き、診断ミスで富山県高岡市内の男性(当時50歳)が突然死するのを防げなかったとして、遺族に賠償金6000万円を支払うと発表した。男性は2014年7月に受診し、約1か月半後に死亡した。

 

死因はブルガダ症候群だった。

 

市民病院によると、男性は14年7月、意識を失ったことや頭の重さを訴えて受診した。市民病院は、精密検査で中枢神経系の病気と診断し、経過観察していた。ところが、男性は同年8月、心停止になり、救急搬送された別の病院で死亡した。

 

遺族側から昨年5月、損害賠償請求されたことを受け、市民病院では院内の医療安全小委員会などで当時の対応を検証した。

 

その結果、診察時の男性の心電図に特有の波形があり、ブルガダ症候群と診断できていた可能性が判明。ブルガダ症候群の中でも発作のリスクが高いと診断し、植え込み型除細動器を手術で取りつける治療をしていれば、男性の突然死を防げたという。

 

市役所で記者会見した遠山一喜病院長は「亡くなられた方やご遺族の心情を考えると心が痛む。今後は体制を強化し、安全安心な医療を心がけ、地域のみなさんに信頼される病院としていく」と謝罪した。

 

<ブルガダ症候群>  心室細動が起きて心臓が働かなくなり、突然死につながる病気。心電図に特徴的な波形が現れる。この波形がある100人のうち心停止発作を起こすのは2年に1人程度とされる。はっきりした原因は分かっていない。1992年に報告した医師の名前から名付けられた。

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