遺伝子検査;遺伝性腫瘍総論:DNA修復機構②危険なDNA二本鎖損傷

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遺伝性腫瘍のお話の総論として,DNA二本鎖損傷の危険性 についてお話しましょう.

ちなみに,DNA二本鎖損傷は放射線の電離作用で起こりますから,
この修復過程に機能するタンパク群に異常を来たすと
放射線脆弱性が惹起されて,発がんしやすくなります.
そのため,それらの疾患群ではがんを発症した場合,
放射線治療が禁忌となるのです.

現在,このような遺伝子に異常があるかどうかも一気に検査できるようになりました.
CTによる検査で発がんする率も1/1,000~2,000と見積もられており,決して低くはありません.
また,わが国は全がんのうち,その3.4%が検査による医原性被爆が原因と見積もられています.
https://minerva-clinic.jp/%E6%A4%9C%E8%A8%BC%EF%BC%9A%E5%8C%BB%E8%80%85%E3%81%AB%E6%AE%BA%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%AA%E3%81%8447%E3%81%AE%E5%BF%83%E5%BE%9710%E3%80%80%E5%81%A5%E5%BA%B7%E3%81%AA%E4%BA%BA%E3%81%AF%E8%A2%AB/

 

放射線にたいして脆弱性を示す疾患の中には,常染色体劣性遺伝形式のものがありますが,疾患にはならないが,病的変異を持っているだけの人たちも,同じように脆弱性を示すということがわかっています.
このような人たちは,遺伝子検査をしないと判りません.

 

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DNA損傷にはいろいろな種類があります.

DNAの酸化,
脱アミノ化,
加水分解,
チミン二量体の形成,
intrastrand cross link(同じ1本鎖のなかで塩基の結合が起ってしまうことです),
interstrand crosslink(違う1本鎖の間で塩基の結合が起ってしまうことを言います),
DNA一本鎖切断,
DNA二本鎖切断

などがあげられます.
ここで,それぞれの説明をしようかと思いましたが,みなさま嫌になると思いますので,知りたい方はご自分で検索してください!

 

 

DNAは二重らせん構造をとっており,二本鎖のうち一方が損傷したとしても,
正常に保たれているもう一方のDNA鎖を鋳型として,損傷部位を修復することができます.

しかし,DNA二本鎖の両方が切断されてしまった場合にはどうなるでしょうか?
切断端でDNAの一部が失われたり,化学修飾が起きていたら単純にくっつけることはできません.
実際,放射線照射などの外的要因によって起こるDNA二本鎖損傷では,このような”きたない”DNA切断端(‘dirty’ DNA double strand breaks)ができていると報告されています.

DNA二本鎖損傷では,正常な遺伝情報を保持している”もう一方のDNA鎖”がないため,
少なからず遺伝子の情報が失われてしまいます.
つまり,DNA二本鎖損傷は特に危険なDNA損傷となるのです.

こうした切断端では,ますます遺伝情報が失われたり,切断部位周辺の遺伝子の転写が行えなくなるので,
細胞としては,修復する必要があります.

そこで,”きたない”DNA断端を処理して,きれいにしてから再結合するという作業が必要となります.

複数のDNA二本鎖切断がある場合には,元の切断端同士が結合できるように,
切断端をすぐ近いところに保持しておく必要があります.
元来とは違うDNA切断端同士が結合してしまうと,腫瘍細胞でよく見られるような染色体転座ができてしまい,
大変危険
です.

これらはDNA損傷部位に集結してくるタンパクによって行われていきます.

DNA は紫外線や放射線などの環境要因と活性酸素やDNA 複製時の異常などの内的要因により,様々なタイプの損傷を受けます.
内因性の損傷は1日に1細胞あたり10回ほどの頻度で生じると予想されています.

これに対して細胞は多様な修復機構を駆使してDNA を修復するのですが,損傷の激しい場合にはチェックポイント機構で細胞周期を停止することで十分な修復の時間を確保し,また修復不能な場合はアポトーシスと呼ばれる細胞の自殺機構を誘導してゲノムの恒常性を保つのです.

DNA 損傷の中でも最も細胞に対する毒性が強いのがDNA 二本鎖切断(double-strand break:DSB)で,その修復機構としては
①相同組換え修復(homologous recombination:HR またはhomology-directed repair:HDR),
②非相同末端再結合(non-homologous end-joining:NHEJ):DNA末端を直接繋ぎ合わせるため,相同組換えと異なり姉妹染色分体を必要とせず,すべての細胞周期内において機能する一方,DNA末端の接合部において変異が起こりやすい.DNA破損で生じた二重鎖切断の修復のほか,抗体遺伝子の組換えシステムであるV(D)J組換え,クラススイッチ組換えで生じるDNA二重鎖切断の結合も行う.
③代替非相同末端再結合(alternative non-homologous end-joining:alt-NHEJ):DNA末端のマイクロホモロジーを利用する代替的なもの
④一本鎖アニーリング(single-strand annealing:SSA):一本鎖の相補的な配列をもつDNA鎖 同士が二本鎖を形成する
という四つの経路があります.
このうち最も配列のエラーが起こりにくいのがHR で,S 期およびG2期に姉妹染色分体を鋳型として修復が行われます.G1期は主に両断端をそのまま直接つなげるNHEJ で修復されます.

*細胞周期
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%B0%E8%83%9E%E5%91%A8%E6%9C%9F

何らかの原因でHR が機能しない場合はNHEJ,alt-NHEJ,SSAで修復される機会が増えますが,
特にalt-NHEJ,SSA はエラーが起こりやすい修復なのです.

BRCA1(Breast Cancer Susceptibility Gene1)の変異による乳がんや卵巣がんなど,HR 不全によるゲノム不安定性はがんの原因として非常に重要です.

要するに,細胞一つ一つが,たくさんのDNA損傷にさらされながら,それを修復してけなげにがんばっている!ということを理解しましょう.

 
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新宿ミネルバクリニックの遺伝子検査の特徴:
当院では,がんに関係している遺伝子変異を一度の検査で網羅して調べられるように
汎がん遺伝子パネルを用意しています.
今までは,BRCA1/2だけで大体25万円くらいで行っていましたが,BRCA1/2が関係する遺伝性乳がん卵巣がんだと疑って検査しても,病的変異が見つかる確率は半数くらいです.

それでは,残りの方々が,
①遺伝子に塩基配列以外の異常があるのか
②他の遺伝子に異常があるのか

がまったく判らなかったのです.

海外では,パネルといって,複数の遺伝子を一度に検査するというのがスタンダードとなっています.
一度に検査するメリットは,現段階で考えられるものを網羅している,ということと
一度に検査することにより遺伝子1個あたりの単価を非常にお安く出来るということが特徴です.

現在,日本では行えませんので,アメリカに提出しています.

アメリカでは1980年代に,CLIAという法律が出来て,臨床検査について標準化しなければならないと定められています.
臨床の検体を出すのに,基準が決められているということが,アメリカにお出しする大きな理由です.(それ以外にもメニューとして他の国の検査会社も用意しています.)

当院の遺伝子検査パネルであれば,BRCA1/2も含んでいて,また,次世代シークエンサーでは検出できない巨大欠失なども検出すべくMLPA法も必要な遺伝子には同時に行って,1遺伝子あたりの単価は5000円を切っています.

当院でも,BRCA1/2だけを検査すると,一番お安く検査を出しても12万円+消費税,となります.

また,パネルの種類も,がんだけではなく,多数ご用意いたしております.

癌:乳がん卵巣がん,リンチ症候群,膵臓がん,甲状腺がん,褐色細胞腫瘍,汎がん

  • 循環器:汎心臓病,ブルガダ症候群,拡張型心筋症,肥大型心筋症,突然死症候群,不整脈,QT延長症候群,
  • 神経・筋疾患:筋萎縮性側索硬化症,Charcot Marie Tooth病,先天性筋無力症症候群,遺伝性末梢神経障害,遺伝性感覚性自律神経性ニューロパチー,筋ジストロフィー,筋強直症候群・横紋筋融解症,遺伝性神経障害,痙性四肢麻痺,汎神経筋疾患
  • 精神・神経疾患:自閉症,癲癇,知的障害,白質脳症,パーキンソン病・アルツハイマー病・認知症,X染色体関連知的障害
  • 呼吸器:線毛不全症,肺疾患
  • 骨・結合織:結合織病,骨格形成異常,マルファン症候群・胸部大動脈瘤,
  • 内分泌・代謝:糖尿病肥満,ライソゾーム病
  • 眼:眼疾患,緑内障,加齢黄斑変性,色覚障害,網膜色素変性症,
  • 耳:難聴,
  • 腎臓病,ステロイド抵抗性ネフローゼ, アルポート症候群,
  • 皮膚:先天性白斑症
  • 消化器:慢性膵炎
  • 血液:血液凝固異常など.

詳しくは,info@minerva-clinic.jp ,電話 03-5272-3768 までお問い合わせくださいませ.

当院では,お仕事が終わってから遺伝カウンセリングを受けられるように,予約制で夜間診療も実施しております.

 

遠方の方で来院できない,と言う場合でも,対応できるように考えますので,まずはお問い合わせくださいませ.

また,DTC遺伝子検査との違いが判らないというご質問をよく受けますので,記載いたします.

  • DTC(Direct to Customer)遺伝子検査とのちがい
    DTCは口腔粘膜などを自分で採取して検査会社に送るというスタイルの遺伝子検査です.ゲノムのなかのSNPを利用して検査結果を出しています.
  • ある生物種集団のゲノム塩基配列中に一塩基が変異した多様性が見られ,その変異が集団内で1%以上の頻度で見られる時,これを一塩基多型SNP : Single Nucleotide Polymorphism)と呼ぶのです.300塩基に1個のSNPがあり,ヒトゲノム全体で約1000万ヶ所,遺伝子領域では100万ヶ所のSNPが あると考えられています.遺伝子領域にあるSNPは、作られるタンパク質の時期や量,機能に違いを生み出すことがあります.
    疾病罹患群と健常群の間で,あるSNPの塩基出現頻度を調べた結果,有意差があるということは,このSNPマーカーの近傍に疾病発症に関わる変異が存在する確度が高いことを示しています.
    しかし,仮に罹患率が高いSNPタイプ(=「凶のくじ」に相当)を持っていたとしても,本人がその変異(=「現実の災い」に相当)を保有しているかどうかはわかりません.

このように,SNPタイピングに基づくDTC遺伝学的検査は,疾病罹患性を予測することができないのです.

  • これに比べて,遺伝子検査の場合,該当する遺伝子の塩基配列をすべて決定して,異常がないかを直接調べますので,直接にその疾患罹患性が判ると言う決定的な違いがあります.
  • 遺伝子ドックとのちがい
    遺伝子ドックは,血液のなかに含まれる「がん細胞に特徴的な遺伝子の発現」を検査することで,がんに今罹患しているのかどうかを知るための検査です.=今がんにかかっているか?
    これに対して,遺伝子検査は,体中の細胞が生まれつき持っている「疾患にかかりやすい遺伝子変異」の有無を直接調べるという違いがあります.=将来がんにかかりやすいか?
  • NGS(次世代シークエンサー)の場合,一つの遺伝子を検査するのも,複数の遺伝子を一気に検査するのも,手間としてはそんなに変わりませんので,パネルになると,1遺伝子あたりの価格が下がります.

当院では,アメリカの会社に検査を提出しています.
アメリカは1980年代から臨床検査は法律で標準化・適正化されていますので,当院が検査を提出するラボも,こうしたアメリカの厳しい基準を満たすものです.
また,次世代シークエンサーNGSによるシークエンシングは,大きな欠失や一部が重複しているといった異常は検出できません.そこで,そういう異常により引き起こされる表現型があるとわかっている遺伝子については,MLPA法と呼ばれる方法で,検査します.
世界トップレベルのハイクオリティーな検査をお約束します.

  • 検査結果は英語で返却されます.責任を持って日本語に翻訳いたします.
  • 当院では,内科専門医,がん専門医,遺伝専門医が,この検査に対応しています.この分野の専門医は大変少なく,日本でもこの3つの専門医を持っているのは,今のところ私1人のみです.
  • 遺伝カウンセリングは,ご自宅や宿泊先などに出向いて行うことも可能です.
    周囲を気にせず,落ち着いた環境で遺伝カウンセリングを受けることが可能です.

アメリカのNCI国立がん研究所のがんのスクリーニング方法のなかには,身体検査,血液検査,画像検査についで,遺伝子検査が挙げられています.*アメリカではDTC遺伝子検査は現在禁止されています.

 

 

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