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【NIPT】NIPTは正常だったのだけど。。。。

ある日、結果開示に来た患者さん。
NIPT正常だったのですが。
超音波検査で頭蓋骨欠損があり。。。。。。
 
翌日、中絶することになったとのこと。
 
でも、私に会いたい、とNIPTの結果を聞きに来てくれました。
 
産婦人科の先生は生まれても生きていけないから、というけど先生どう思う?
 
そうだね。気持ちはわかるけど。確かに生まれても生きていけないと思う。
だから、赤ちゃんを授かりたかったら、この子はあきらめて、体が癒えたらまた授かって産めばいいと思う。
 
ポリクリのとき、わたしが見た無脳症の子供たちの話をわたしはした。
高知医科大学脳神経外科には当時、無脳症で有名な先生がいて、遠くから通ってきている人が多かった。
 
頭ではわかるけど気持ちが付いていけない。
 
そんなの当たり前だよ。
 
そして、わたしは、初めての妊娠出産で一卵性双生児を授かり、36週と6日で突然片方心停止してしまい
それが理解できなくて(理解したくなくて)、心音が一つしか聞こえない、に対しては助産師の腕が悪い、といい
医師が来て超音波で証拠を見せられた時には、このまま置いておけばまた動く、と言い放ち
手術室に行こうとしなかったことを話した。
 
医学生だったんだけどね、そんなものだよ。
 
大粒の涙を流す彼女を抱きしめた。
 
男性医師がすると、セクハラになることが、ジョイにはできる。
 
そして、子供を失う母親の辛さも共有できる。
 
わたしは遺伝専門医なのだ。
その日、こころからそう思った。
 
わたしをNIPTから排除するなんて制度が間違ってる。
 
でも。共感する能力が高いので。
そのあとに、別の患者さんに大丈夫なお子さんです、とニコニコ開示しないといけなくて。
 
振幅が大きすぎて気持ちが付いていけない。
 
出生前診断は辛い仕事だ。
 
でも。わたしにしかできない診療風景がある。
 
車でまっている夫のところまで彼女を送り届けた。
 
また授かったら先生のところに来るね、先生に会いたいから。

最後にそう言って彼女は去っていった。

母体のなかで胎児を失った私が
だれかの背中を押して別の母体の中の命を失う決断の背中を押す。
わたしも辛い。

でも。

こうして私たちは辛さを共有し、ともに涙を流し、痛みを分かち合い、明日を生きる勇気に変えることができるんだ。
わたしの辛さが誰かの笑顔になる。
そう思ったら
初めての出産で一卵性双生児の一人を失って、今もこうして涙があふれていることも意味がある。

もう一人の息子と一緒にこの仕事をしてるんだ。時々そう思う。

先生、大好き。ブログ、読んでるよ。すごいね~。あんなに言いたいこと書いて(笑)

そう言ってくれるたくさんの患者さんたち。
患者さんたちは初対面なんだけど、ブログでわたしを見て。写真を見て想像して
初めて会った私に目を輝かせる。
イター!仲田洋美。動いてるよ!!って感じで(笑)
 
 
なぜ遺伝専門医のわたしがNIPTから排除されねばならないのか。
日本医学会にはちゃんと理由を教えてほしい。