Pocket

自閉症スペクトラム障害とは

1. 自閉症とはどういう疾患なのか?

自閉症は

①社会的相互作用(コミュニケーション)の障害:他人の気持ちを理解・共感できないなど
②固執傾向:決まった手順を踏むことへの強いこだわり
③常同行動:反復または限定された行動を取る

などといった特徴があります。

こうしたさまざまな状態をスペクトラム(連続体)としてひっくるめる診断名として自閉症スペクトラム(autism spectrum disorder; ASD)と呼ばれます。

以前、自閉性障害(自閉症),アスペルガー症候群、特定不能の広汎性発達障害、小児期崩壊性障害などと呼ばれていたものは、最新の診断基準であるDSM-5においては自閉症スペクトラム(ASD)という単一の診断名で表現することが再定義されました。

最近のアメリカ疾病予防管理センター(CDC;Centers for Disease Control and Prevention  )の統計では,実に59人に一人が自閉症と診断されています。

2. 自閉症スペクトラム障害と遺伝の関係はあるのか?

自閉症スペクトラム障害の家族内での遺伝性については検討が重ねられてきました。

2000年代後半から,全ゲノム関連解析研究(GWAS)が行われ、3つの別の研究でCadherin9,Cadherin10Semaphorin5AMACROD2が自閉症関連遺伝子として示唆されました。

2015年にNatureに掲載された論文です。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25621899

アブストラクト:自閉症スペクトラム障害(ASD)は遺伝的に多様であり,数百の感受性遺伝子座が見つかっている.過去行われたマイクロアレイおよびエクソーム配列決定研究では,この疾患の散発性型と推定される単純家系(両親および1人のASD患児)におけるゲノムの一部が調査されている。われわれは、ASD患者170人からなる85の四人組(両親および2人のASD罹患同胞)の全ゲノムシークエンシング(WGS)を用いて明らかに家族性のASDの形態で、すべてのクラスの遺伝的変異(非コード変異を含む)および付随する表現型を包含する包括的データを作成した。

過去にASDまたはその他の神経発達障害と関連があると報告された遺伝子の新規およびまれな遺伝的一塩基変異および構造的変異を調べたところ、罹患した兄弟姉妹の一部(69.4%)が異なるASD関連遺伝子変異を保有していることがわかった。異なる遺伝子変異を有するこれらの兄弟姉妹は,同じ遺伝子変異を共有する兄弟姉妹よりも臨床的多様性を示す傾向があった。われわれの研究では,ASDにはかなりの遺伝的異質性が存在し、研究および臨床診断におけるすべての遺伝的および非遺伝的感受性変異を明らかにするためにWGSの使用が必要であることが強調されている。

3. 自閉症スペクトラム障害の遺伝子パネル検査をなぜ扱うのか?

いろんな意見があると思いますが、当院は臨床遺伝専門医として地域で新型出生前診断NIPTを扱い、たくさんの患者さんたちが来院されます。
そんななか、上のお子さんが自閉症で下のお子さんも障害があると育てられない、本当は自閉症のリスクそのものを検査してほしい、というお声をたくさん頂戴いたしました。

また、お子さんが珍しい遺伝病だということがはっきりしていて、何年も通院しているのに,まったく次のお子さんを妊娠していいのかとか、どうなるのかとかということがご両親と医療従事者の間で話し合われていなくて、突然妊娠して当院に全国から駆け込んでくる、ということもあり、遺伝診療部がまだまだまったく大学病院にしかなくて敷居が高いため、気軽に相談できる状況にないという現実と、たとえ大学病院の遺伝診療部に行ったとしても、本当に乗ってほしい相談には乗ってもらえないという現実。

こうした現実のはざまで実際に苦しんでいる人々に手を差し伸べることは、やってはいけないことなのか?

臨床遺伝専門医として多くの新型出生前診断と一例一例向き合ってきたからこそ、こうした声を一つ一つ拾い上げ、わたしもともに歯がゆい思いをしてきました。
いろいろご批判もあるでしょうが、ミネルバクリニックでは専門医としてギリギリのところで患者さんのニーズと急速に進歩する科学技術の橋渡しをしていきたいと思います。

検査の説明に戻る