【遺伝診療】遺伝形式の新しい概念 digenic inheritance 【2遺伝子遺伝】

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3778050/

近年,次世代シークエンサーという塩基配列を決定する機械ができて10年以上たち

機械の性能もよくなって,塩基配列を決定するのに必要な時間も短縮されてきました.

なので.

今までわからなかったことが追加されてて.

遺伝形式って

a.単一遺伝子疾患(メンデル遺伝病):常染色体優性,常染色体劣性,X連鎖,

b.染色体異常

c.多因子遺伝病

d.ミトコンドリア遺伝病

e.体細胞遺伝病

に分類するのが一般的なんですけどね.

Digenic inheritance というのは,2つの異なる遺伝子の変異が合わさると発症する,というもので

ヒトのゲノム(折りたたまれて染色体を形成する2重らせん構造のDNAの1本鎖の全部をゲノムと言います)が一気にたくさんの部分を解析できるようになり,コマーシャルベースで解析が進んだため,わかってきたことがたくさんあり

その中の一つがdigenic inheritanceです.2遺伝子遺伝と翻訳するのだと思います.

ま.多因子遺伝の2遺伝子版ってことですかね.

ちなみに di  は mono di tri tetra penta hexa hepta octa nona deca という倍数窃接頭語ですね.

genic は gene つまり遺伝子という名詞の形容詞形です,

inheritance は遺伝という意味.

なので2遺伝子遺伝と訳すのが宜しいかと思います.

リンク先のアブストラクトを翻訳いたしましょう.

Abstract

Digenic inheritance (DI) is the simplest form of inheritance for genetically complex diseases. By contrast with the thousands of reports that mutations in single genes cause human diseases, there are only dozens of human disease phenotypes with evidence for DI in some pedigrees. The advent of high-throughput sequencing (HTS) has made it simpler to identify monogenic disease causes and could similarly simplify proving DI because one can simultaneously find mutations in two genes in the same sample. However, through 2012, I could find only one example of human DI in which HTS was used; in that example, HTS found only the second of the two genes. To explore the gap between expectation and reality, I tried to collect all examples of human DI with a narrow definition and characterise them according to the types of evidence collected, and whether there has been replication. Two strong trends are that knowledge of candidate genes and knowledge of protein–protein interactions (PPIs) have been helpful in most published examples of human DI. By contrast, the positional method of genetic linkage analysis, has been mostly unsuccessful in identifying genes underlying human DI. Based on the empirical data, I suggest that combining HTS with growing networks of established PPIs may expedite future discoveries of human DI and strengthen the evidence for them.

2遺伝子遺伝(DI)とは遺伝的に複雑な疾患に対する最も単純な遺伝形式です.

単一の遺伝子における突然変異がヒトの疾患を引き起こすという数千の報告とは対照的に,一部の家系でDIが証明されたヒト疾患の表現型は数十種類しかない.

ハイスループットシークエンシング(HTS)の出現は,単一遺伝子疾患の原因を同定することをより簡単にし,同じ試料中の2つの遺伝子における突然変異を同時に見つけることができるので、DIの証明を同様に簡単にすることができる.しかし,2012年までは、HTSが用いられたヒトDIの例は1つしか見つからなかった.

この例ではHTSは2つの遺伝子のうち2つ目の遺伝子しか見つからなかった.

期待と現実のギャップを探るため,狭い定義でヒトDIの全例を収集し,収集した証拠の種類,複製の有無によって特徴づけようとした.2つの強い傾向は、候補遺伝子の知識およびタンパク質間相互作用(PPI)の知識がヒトDIのほとんどの発表例に役立つことである。対照的に遺伝子連鎖解析の位置解析法は,ヒトDIの基礎をなす遺伝子の同定にほとんど失敗している.経験的データに基づくとHTSと既存のPPIの増加しつつあるネットワークを組み合わせることで将来のヒトDIの発見を促進しそれらのエビデンスを強化することができることが示唆される。

 

*********

当院でも遺伝子パネル検査といってたくさんの関係する遺伝子を一度に検査する方法を採用しています.

https://minerva-clinic.jp/genetictesting/

たとえば遺伝性乳癌卵巣がんを疑ってBRCA1/2遺伝子検査をしても,病的変異が見つかるのは30%くらいで,その他の遺伝子に変異があるかどうかはBRCA1/2遺伝子検査だけではわかりません.

そして,当院でパネル検査をお受けいただいた方々の中には

それ一つだけでがんの易罹患性(病気になりやすさ)が上がるわけではないのだけれど,

VUSという今はまだ病的意義がわからない変異を複数併せて持っていたりする方がいます.

こういう方は,実際にこれから知見が積み重ねられて病的意義があるのかないのかはっきりするのを待つしかないのですが

それでももっと高い値段を出して(BRCA1/2遺伝子だけでも大体25-30万円でほかのいりょうきかんでは提供されています)せっかく検査しても何もわからないより宜しいのではないかと思っています.

こうしたVUSを持つ患者さんたちには当院ではannual reportをおつくりしておりまして

検査を受けた時点以降の新しい知見があれば患者さんにフィードバックするようにいたしております.

一生変わらない遺伝情報を検査するわけなので,お付き合いもずっと.

こうして一人一人,大事にお付き合いをしたい,というのがわたしのしたいことです.

せっかく縁あって,神様に出会わせて頂いたわけなので.

皆様との出会いに感謝いたします (^_^ゞ

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です