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NIPTで染色体異常の結果、確定検査せずに出産

NIPTで、第7番染色体トリソミーという結果が返ってきた患者さんのお話をします。

このかたが受けた時代は、イルミナの子会社であるベリナタの検査を提供していました。
その当時のフルセットを希望されて、全染色体の異数性検査+5つの微小欠失症候群を検査しました。

7番染色体のトリソミーは、今までほとんど報告例がありません。
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染色体は大きな順番に1から22番までの番号が振られていますので。7番染色体は大きいので、トリソミーは致死的と考えられます。

この検査結果が当たっているのであれば、この時期に流産したというお声をきくことが殆どですが、彼女の赤ちゃんは形態学的な異常もなく、元気でした。

彼女は、羊水検査をしたくない、と言いました。そのまま産みたいのだと。

わたしは、わかりました、そのまま産んでも大丈夫だと思いますので、心穏やかに頑張ってください、と言いました。

数年後、彼女は第2子を妊娠して、またNIPTを受けに来ました。
前回のお子さんは、無事にうまれていて、健常児だったと知り、安心しました。
これ、すごくないですか?結局、前回は偽陽性ではっきり言えばお金だけかかって無駄になってしまったのに、また迷わず来てくれるなんて。
彼女にとって、NIPTが「無駄な検査」ではなく、「必要な検査」であり続けたことに感動しました。
そして、そういう医師患者関係を作れた自分にもちょっと感動しました。
普通なら文句言われてそうですよね。

それに。普通だったら、絶対羊水検査を勧めますよね。
でも。わたしは、患者さんがしたくないことを勧めたくなかったというのと、今までの経験から、偽陽性の確率が高いと判断できたからというのが大きな理由です。

たくさんの患者さんたちの検査結果や経過を追跡しているので、それがこういう時に生かされます。

不本意で不必要な侵襲的検査を勧めないというのは、勧めるよりも難しいことです。
勧めて陰性を確認するほうがこちらとしても精神的には楽です。

でも。わたしの楽のために患者さんに苦痛を与えるべきではないと思います。

どうしてこんなことするのかわかんないという医師たちも多いと思います。
だけど、わたしは本当の意味で優しい医師でありたいのです。
優しいということは強くなければなりません。
ニコニコ笑って優しそうにものを言っても、提供できる技術のレベルが低いと、ニコニコ笑って嘘っぱち言って高いお酒を売りつけるホストとどこが違うのか分からなくなります。

患者さんの取りたいリスクがわたしとして許容できる範囲であれば、一緒にそのリスクを背負える医師でありたい。
担当医というのは、患者さんの一番の味方じゃないとね、って思います。

それが、「寄り添う」ことだと思っているので。

時々、寄り添うことが優しい物言いをされることだと勘違いしている方がいらっしゃって、変なこと言われるので、非常に残念なのですが。。。(ちょっと愚痴です)

だけど。いつもいつもこうしてるわけではなく。この症例は私としてリスクを一緒に背負おうって思える症例だったのです。
層じゃなければやっぱ、ちゃんと羊水検査を受けてくれるようにおすすめは致します。

ともあれ。第1子が無事で健常児でよかったってことと。第2子の結果は陰性でしたので良かったです。
一つ一つ、経験を積み重ねて、より皆様のお役に立てるように頑張ること。
どんどん出てくる新しいエビデンスなどにも遅れないように、日々お勉強する事。

そうして診療のクオリティーを担保するのが皆様の信頼にお応えすることにつながると思っています。

だけど。こういう症例を見てみると、「寄り添う」って簡単じゃないって思いませんか?
言葉にするのは簡単ですが、実際に行うのはすごく難しいです。

でも。患者さんの意思をなるだけ尊重したい。
こういうの実行できるようになるまでに、たくさんの経験と文献によるお勉強が必要でした。

急がば回れ。
急がば回るしかないのです。

地道に一歩一歩を確実に。
そうやって頑張っていると、たまにこうして嬉しい報告をもらえます。

自分を信じてよかった。
自分を信じることができるよう精進を怠らない。
ずっと頑張ろう。
そう思わせてくれた症例でした。

院長アイコン

ミネルバクリニックでは、以下のNIPT検査(新型出生前診断)を提供しています。少子化の時代、より健康なお子さんを持ちたいという思いが高まるのは当然のことと考えています。そのため、当院では世界の先進的特許技術に支えられた高精度な検査を提供してくれる検査会社を遺伝専門医の目で選りすぐりご提供しています。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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